12月のパルティータ

12月上旬にずっとずっと楽しみにしていたクリスチャン・ツィメルマンのリサイタルに職場のポーランド人と行ってきた。 

凄く恥ずかしいことだが、一応文化芸術の仕事をしているのに自分が制作する公演やコンサート以外のコンサートやお芝居を見る機会が殆ど無かった。勉強のためにもっと見たり聴いたりしなきゃいけないのは重々分かっている。でもこの業界でまだまだペーペー(一応)の私はコロナ禍の中ポカをせずに気配りをし日々の公演を回すのでいつもいっぱいいっぱいで特に体力がめっちゃある訳ではない私が今年は特に20連勤とかしまくっているので、心の余裕が本当に無くなってしまい、iphoneで通勤中にギドン・クレーメルシャコンヌを聞いて号泣してしまうくらい心がピキポキしていた。芸術と休みを摂取しないと終わる…と思い詰めていたところ職場のど天然ポーランド人Mがクリスチャン・ツィメルマン来日するじゃん!行こうよ!チケット取って!!と唐突にチラシを私のデスクでピラピラしてくれなかったら、「来日するんだー、でもリハの立ち会い終わって定時退社しなきゃいけないから間に合わないかも…」とか考えてコンサートに行くのを見送っていたかもしれない。

ポーランドが産んだスーパースター、今話題のショパンコンクールに優勝経験を持つクリスチャン・ツィメルマン様が世界がこんな風になってもピアノのリサイタルを開催してくれること自体が奇跡だ。(羽生結弦選手が平昌オリンピックで金メダルを取ったショートプログラムのバラード1番は彼の演奏)バッハのパルティータ、ブラームスの間奏曲、ショパンソナタがプログラムで、どれを取ってももう本当に全身万華鏡にいるようなキラキラした音にずっと身を委ねた2時間で、最後のソナタはピアノと取っ組み合いのような姿勢のツィメルマンから発せられるパワーで怒涛の終結部に呆然とした。バッハはこの世界への鎮魂歌のようだったしブラームスはそっと歌い上げるよう。完全にボキャ貧になってしまう〜

終わった後、身体に他の音楽が入ってくるのが嫌でひたすら頭の中で音楽を蘇らせていた。本当に美しい時間だった。

 

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